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紹介屋ではつまらない理由。私が大事にしてきた IIPモデルの話
最近、新しい技術の話を聞く機会があった。
技術そのものも面白い。
でも、私が気になったのは技術よりむしろ、
「これをどう社会実装するのか?」
ということだった。
昔から、私は単純な紹介役があまり好きではない。
AさんをBさんにつなぐ。
技術を企業へ紹介する。
もちろんそれも大切だ。
でも、それだけでは何か物足りない。
振り返ると、私はずっとこんな考え方をしていた。
Inspiration → Incubation → Perspiration
勝手に IIPモデル と呼んでいる。
Inspiration(着想)
新しい技術。
社会課題。
人との出会い。
違和感。
ここから全てが始まる。
多くの組織は、最初の「ひらめき」の重要性を理解している。
でも実は、その次が難しい。
Incubation(孵化)
私はここが一番重要だと思っている。
誰が困っているのか。
何に使うのか。
安全性は。
コストは。
本当に市場があるのか。
技術と市場。
研究者と企業。
アイデアと実装。
その間を行き来して形にする。
この時間がないと、技術は育たない。
Perspiration(汗をかく)
量産。
品質。
営業。
改善。
最後は地味な積み重ねだ。
でも、ここは本来、多くの企業が強みを持つ領域でもある。
組織で感じた違和感
昔、新規事業開発に関わっていた頃、
「IIPが大事です」
と経営幹部へ話したことがあった。
でも、あまり伝わらなかった。
多くの組織が見ているのは、
I → P
つまり、
「アイデアを出したら、実行する」
という世界だ。
でも実際には、
I → I → P
着想を育てる時間が必要だ。
技術はある。
でも用途がない。
顧客がいない。
実証が育たない。
そうして止まっていく。
研究開発費が厳しくなると、真っ先に削られやすいのは、この「育てる時間」なのかもしれない。
私はこれを、
考えない病というより、“考える余白を失う病”
だと思っている。
今思うこと
振り返ると、自分はいつも、
「誰が困っていて、どう使えば社会に残るだろう?」
を考えてきた気がする。
私は研究者でもない。
営業でもない。
たぶん、孵卵器なのだと思う。
新しい技術を見ると、今でもワクワクする。
でも、技術そのものではなく、
その技術が世の中に出ていく瞬間を考える方が、もっと好きなのだ。